どのようなバットを選べばよいか悩んだ経験はありませんか?
自分にピッタリなバットとは、どのような長さ、重さ、バランスなのでしょう?
ここでは、バットの種類が数多くある中でシーンごとにバットの選び方を解説していきます。
目次
まずはバットの特徴を知ろう
なぜバットは、あのような形なのかを把握しておくと野球を詳しく知るうえで損はないので覚えておきましょう。
バットには、3つの中心があります。
- 「真芯」(一番打球が飛ぶ場所)
- グリップの中心(握りの中心)
- バットの重心
この3つの「中心」意味を理解していると、なぜ短く持ったほうがミート率が上がり長く持つと飛距離が出るのかを理解することができます。
バットを短く持つとミート率が上がる理由
力学的になってしまいますが、写真のようにバットを短く持つと重心から真芯の幅が広くなりヒット率が上がるのと、ジャストミートする場所がバットの先の方になるので、反対方向に強い打球が打てるメリットがあります。
私は少年野球時代、監督・コーチからミート力を要求されている場面で、短く持ちなさいと言われたことがありとても嫌な経験をしたことがあります。
それは、バッティングの醍醐味は、遠くへ飛ばすことがどうしても気持ち的に強くなっているのと、選手のタイプにもよるのですが、自分の中で長打力があるバッターと考えていたのですごく嫌な気持ちになりました。
しかし、このようなバットの構造をしっかり理解できていれば、この場面では、ミート率を上げるためにどうしたら良いのかを自ら理解し、もしかしたら監督・コーチに言われなくても若干でも短く持ってしっかりボールに当てる努力をしていたかもしれません。
バットを長く持つと飛ぶ理由
逆にバットの重心が握った中心から離れることになります。
バットの重心が短く持ったときよりも距離が広くなり力学的(遠心力)にヘッドスピードが上がり打球が飛ぶようになります。
しかし、バットの「真芯」との距離が短くなる分、ジャストミートの場所から重心までの距離が短くなるデメリットがあるのです。
そのようなことから、バットを長く持つと飛距離が伸び短く持ったときよりも正確性は弱くなります。
このようにバットの特性を理解していればなんとなくわかっていたことが、明確になり自分のスタイルを活かせるのではないでしょうか?
バットの長さの選び方
ここでは、バットの長さについて解説します。
筆者は、常にチームに所属していたこともありチームで取り扱っているバットやチームメイトのバットを借りたりしてよく試し振りをしていました。
その中で一番自分にしっくりするバットの長さを確かめていたのを覚えています。
基本的には、腕のわきから指先までの長さを測り、その数値に1.3を掛けると自分のバットの長さの基準になるので、覚えておきましょう。
大人になると、大体の長さが決まるので84~85cmが基本となります。
一応、年齢でバットの長さが変わってきますので、筆者が実際成長と合わせて使っていたバットの長さを分かりやすく表にしてみました。
成長には、個人差がありますので目安として見ていただければと思います。
バットの長さの目安
年長~小学1年生 | 60㎝ |
小学1・2年生 | 68㎝ |
小学3・4年生 | 72㎝ |
小学4・5年生 | 75㎝ |
小学5・6年生 | 78㎝ |
小学6年生 | 78㎝ |
中学1・2年生 | 82㎝ |
中学2・3年生 | 83㎝ |
高校生・大学・社会人 | 84~85㎝ |
バット選びのコツは、ある程度スイング力がある前提で言うと、ロングヒッター(長距離打者)ならバットの長さは、できるだけ長いほうが良いです。
バットのしなりがスイングにしなやかさを生み出してくれるはずなので、より鋭い打球が打てるようになります。
バットの重さの選び方
次にバットの重さについて解説します。
バットの重さ選びのコツは、軽すぎず重すぎないバットが好ましいのですが、できれば若干気持ち重いバットのほうが打球は飛びます。
力学的に考えれば、軽いバットよりも重いバットのほうが遠心力が付きボールのインパクトは強くなります。
注意したいのが、重すぎるとバットが波打ってしまうことがあるのでそこだけは注意しましょう。
筆者が使っていた重さを表にしましたので参考にしてみてください。
バットの重さの目安
年長~小学1年生 | 200グラム |
小学1・2年生 | 460グラム |
小学3・4年生 | 520グラム |
小学4・5年生 | 550グラム |
小学5・6年生 | 540グラム |
小学6年生 | 580グラム |
中学1・2年生 | 720グラム |
中学2・3年生 | 800グラム |
高校生・大学・社会人 | 900グラム以上 |
バットのバランスについて
バットには、バランスがあります。
バランスとは、上記で説明した「重心」がキーポイントになります。
バランス | 特徴 |
トップバランス | ロングヒッター(長距離打者)が好むバランスで作られています。メリットは、バットを振ると先端に重心があるので、ヘッドが効いた遠心力を活かしたスイングが可能になります。デメリットは、ヘッドが走りやすいので、変化球などのボールにタイミングが合わないと先にヘッドが返ってしまうので、こねてしまうリスクがあります。 |
ミドルバランス | アベレージヒッター(中距離打者)が好むバランスで作られています。メリットは、バットコントロールがしやすいのでミート率が上がります。デメリットは、トップバランスと違い、遠心力弱くなるので飛距離がトップバランスと比べて飛びません。 |
カウンターバランス | あまり、使用する打者がいない別名ニアーバランスとも言われています。手元に重心があるので流し打ちや、インコースをうまくさばけるメリットがあります。デメリットは、軽いバットですので真に当てにくく打球が飛びません。 |
補足として、トップバランスはグリップが細く、ミドルバランスは全体的に太い傾向にあります。
バット選びで一番重要なのは、自分の手のひらの大きさで選ぶことをおススメします。
理由としては、バットを握る感覚が「強すぎず緩すぎず」といったベストの太さのバットを選ぶとしっくりくることがあるからです。
例えば、バットのグリップが細すぎるとついつい力が入り初動から力が入ってしまうと鋭いスイングで振ることができません。
なので一番ベストなのは、リラックスしてスイングができるグリップの太さを選ぶようにするとベストパフォーマンスが出せます。
軟式バットの選び方
軟式バットの選び方について解説します。
軟式バットの特徴としては、金属・FRP製(複合素材)・木製の3種類が挙げられます。
小学生の軟式バット選び
少年野球用のバットは、「JSBB」マークがついたものを選びましょう。
「JSBB」とは、全日本軟式野球連盟(Japan Softball Baseball Association)の略称のことです。
このマークがついていれば、軟式野球の規定を満たしていることになります。
注意したいのが、所属している連盟の大会規定というものがあるので、色の規定や特に複合型バット(ビヨンドマックス、カタリストなど)の禁止などに注意が必要です。
少年野球チームの監督コーチにどのようなバットを購入したらよいのか、事前に聞いておくと悩まず購入できます。
あとは、スポーツ店の従業員に詳しく聞いてみることをおススメします。
中学生の軟式バット選び
中学生も「JSBB」マーク入のバットを選びましょう。
連盟によりビヨンドやカタリストといった複合バットの使用を許可しているところもありますが、野球を続けていくなら高校でも使える金属バットを使ったほうが個人的にはオススメします。
もし高校野球で本格的に硬式野球を行う予定なら中学の軟式野球でも硬式用の金属バットでの使用は許可されていますので、使用するのもいいのではないでしょうか?
ただ、900g以上あるバットですので、しっかり振り切れるのが前提が条件です。
振ってみてバットが重いと感じたら中学生用のバットを使用するようにしましょう。
高校・大学・草野球の軟式バット選び
軟式高校野球
高校野球には、軟式・硬式とありますが管轄は「公営法人 日本高等学校野球連盟(高野連)」と同じです。
高校野球の軟式バット(金属バット)には、「SG」マークと「JSBB」マーク両方ついています。
これは、少年野球で使うために高校軟式だけでなく高校・大学・草野球まで幅広く使用できるようにするためです。
軟式高校野球では、高野連が担当していますのでバットの規定は厳しいです。
例えば、シルバー・ゴールド・ブラック以外の色のバットは使用不可で、グリップもブラックまたはブラウンの単色しか使えません。
よく草野球で使っている、カラフルなバットやグリップテープは、使えませんので注意しましょう。
ビヨンド、カタリストなどの高反発系のバットも使用不可です。
重量制限はないので、自分にあったバットを選びましょう。
ちなみに、硬式の高校野球は900g以上と規定があります。
軟式大学野球
軟式大学野球も金属バットは、全日本軟式野球連盟公認(JSBB マークのあるもの)を使用しましょう。
それ以外は、使用することができません。
社会人軟式野球
軟式社会人野球のバット選びですが、大会によって規定が様々なのでその大会に応じて対応しましょう。
「JSBB」以外のバットの使用ができるのなら、反発系のバットを使うのがおすすめです。
オススメは、ミズノの「ビヨンドマックス」かルイスビルスラッガーの「カタリスト」です。
「ビヨンドマックス ギガキング」はトップバランスタイプでロングヒッター必見のバットになります。
重量感があり、バットもやや太めなのでしっかり振り切れれば飛距離も格段にアップすると思います。
硬式バットの選び方
硬式バットは、金属バットと木製バット2種類あります。
高校生までは、金属バットを使用し大学生から木製バットを使用します。
ここでは、シーンに合わせてどのようなバットを選べばいいのか解説していきます。
小学生の硬式バット選び
小学生の硬式リーグには、リトルリーグ、ボーイズリーグをはじめ、ヤングリーグ、ポニーリーグ、フレッシュリーグなどがあります。
野球規定に則った製品を購入するようにしましょう。
例えば、リトルリーグでは、長さ83.3cm以下で、直径は5.7cm以下、ボーイズリーグでは、長さ82cm以下で、連盟マークがついていることが条件となっています。
中学生の硬式バット選び
中学生の硬式金属バットは、ミズノビクトリーステージ Vコングが人気です。
甲子園の影響などで、最近ではミズノかゼットの製品が人気でとくにミズノのVコングが数多く使われています。
これは、有名高校が使用しているバットがテレビなどで放映されるとそれを見ていた球児があこがれを抱き、同じバットが欲しくなるという傾向が毎年あります。
なので、裏話的になりますがメーカーは甲子園出場校に最新の人気バットを無料で配り大会で使ってもらうなどの企業戦略などがあったりします。
高校・大学・社会人の硬式バット選び
高校野球
高校野球は、金属バットを使用します。
「製品安全協会」のSGマークが付けられているものに限定されます。
カラーも限定されていて、シルバー系・ゴールド系・またはブラックとなっています。
グリップテープは、ブラックまたはブラウン系の単色とし、本体同色の型押し加工のものは使用できます。
バットの重さは、900g以上となっています。
これは、グリップエンドノブ、グリップテープを含む重さになります。
大学・社会人
大学野球では、一般社団法人全日本野球協会のマーク「BFJ」もしくは、「NPB」のロゴマークがついたバットしか使えません。
ほとんどが、「BFJ」マークのバットを使用します。
「圧縮バット」は使用禁止になっているので注意しましょう。
試合は、「アオダモ」を使用することをおススメします。
アオダモは、しなりが強く打球感もマイルドなので、非常に素晴らしい素材になります。
価格も高額なので、なかなか手が出ないというのなら、もう一段ランク下の「ホワイトアッシュ」にしましょう。
ホワイトアッシュは、しなりと打球感はそこそこの素材なので、使用する選手は多い傾向にあります。
筆者が大学野球をやっていたときは、経済的な面で試合では、ミズノ製の「ホワイトアッシュ」を使用していました。
ホワイトアッシュは、そこそこのポテンシャルを発揮できるので、トータル的に良かったです。
ただ、ほかの木製バットと比べてバットが折れるというよりも割れることが結構ありました。
ひどい時には、真っ二つに割れた経験もしました。
あとは、芯の部分がはがれやすくなったりします。
なので、大事な試合ではやはり「アオダモ」がおススメです。
あと練習には、バットが折れにくい性質の「メイプル」がいいです。
もしくは、「竹」バットを使用しましょう。
材質は重硬で肌目は緻密になり、非常に硬いバットになります。
デメリットは、反発力がある分、芯を外すととてもしびれます。
特に寒い時期に竹バットでバッティング練習をしているとかなり手がしびれます。
その分折れにくいので、しっかり芯にあてさえすれば問題ないでしょう。
社会人野球は、大学野球とほぼ規定は同じですが、一部ラミバットや竹バットが試合で使用することができます。
まとめ
野球をするうえで、バット選びはとても大切な作業になりますのでとことん追求していってください。
筆者も、高校時代の金属バットにはとてもこだわった経験があります。
ルイスビルスラッガーのバットを使用していたのですが、グリップは今で言う「リザードスキン」のようなグリップテープを使用していました。
普通のグリップテープと違い厚めのテープでしたが自分の手のひらにぴったりフィットしていたので、とても好んで太めのグリップテープを巻いて使用したりしていました。
このように、いろいろな人気バットをそのまま使用するのもよいですが、自分のポテンシャルを十分に発揮できるバットを見つけ、自分なりのカスタマイズをして納得のいくバットを探してみてはいかがでしょうか。
そのためには、いろいろなバットを振ってみたり使用してみたりして探求心を高めていいく必要があります。
こういった道具のこだわりは、野球を愛する選手にとっての唯一の醍醐味になるはずです。
道具を愛さない選手は、うまくなりません。
ぜひ、自分に合った素晴らしいバットに巡り合うことを心より祈っております。
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