ここでは、【大谷翔平】デビューシーズンのすべてを語る!「NHKスペシャル」インタビュー・ノーカット77分の中に出てくるバッティングの変化について解説してみます。
目次
メジャー流大谷翔平選手のバッティング理論
大谷翔平選手は、北海道日本ハムファイターズ時代、足を上げたバッティングスタイルでしたが、開幕直前にコーチのアドバイスもあり、すり足に変えてメジャーの投手に対応し成功したと言われています。
そこで、この動画のインタビューに出てくる、前ヒンスキーバッティングコーチが大谷翔平選手に言った言葉が印象に残りました。
それは、「自分の手を信じなさい」。
これは、日本において教え方が180度違う言い回し方です。
日本では、下半身主導から体の捻りを使い一気にパワーをボールにぶつけなさいと指導されます。
大谷翔平選手も話の中でも、日本では下半身を使って打つよう指導されてきたと語っています。
野球のルールは、米国も日本も同じです。
ピッチャーのマウンドからホームベースまでの距離は、世界共通18.44m基本的なことはほぼ同じなのです。
ではなぜ、野球の教え方が米国と日本では違うのでしょうか?
ここでは、その理由を仮説を立てて論じてみたいと思います。
足を上げる打ち方とすり足の打ち方
まずバッティングで足を上げるメリット・デメリットについて考えたいと思います。
【メリット】
- 反動をつけてボールの飛距離を伸ばせる。
- ピッチャーとのタイミングが取りやすい。
- 軸足に体重が乗りやすい。
【デメリット】
- 頭の動きがブレやすい。
- ボールとの距離感が掴みにくい。
- 疲れから体がピッチャーの方向に行きやすい。
ここで、思うことはメジャーリーグの選手は足を上げて打つ選手はほとんどいません。
すり足かノーステップです。
逆に日本の選手は、ゆっくり足を上げて打つ選手が数多くいます。
トリプルスリーを達成させた、ヤクルトスワローズの山田 哲人選手、ソフトバンクホークスの柳田 悠岐選手も基本足を大きく上げて打ちます。
筆者も現役時代足を上げて打っていました。
理由はゆっくり大きく足を上げたほうがタイミングが取りやすいのと勢いがつき打球が飛ぶので取り入れていました。
タイミングが取りやすいという表現をもう少し噛み砕いていいますと、なるべくボールを線で見たいのと、ピッチャーとのタイミングを「シンクロ」させるために足を上げていました。
筆者が思うシンクロとは、ピッチャーが足を上げてこちらに踏み出しのタイミングをなんとなく合わせ、準備をします。
そうすることによって、ストレート、変化球に対して「タイミングを合わせて打つ」そんなスタイルでした。
すり足で打っていた時期もありましたが、ボールを線というよりも点で打つような感覚があり、どうしてもピッチャーとのタイミングが取りづらいのでやめた経験があります。
では、メジャーはなぜ足をあまり上げないのでしょうか?
線よりも点で打つ感覚
メジャーリーガーの打ち方を見ていくと、もちろんピッチャーの投げるタイミングを合わせて打つことには、変わりはないのですが感覚的に「点」で打っているように感じていました。
点という表現は、例えばバッティングマシーンで打つような感覚です。
当たり前ですがバッティングマシーンは、機械ですのでタイミングが取りづらいです。
有名プロ野球選手が投げている動画を設置しているバッティングセンターがあるぐらいですので、投げてくるタイミングを図って打つのが通常と言えるでしょう。
筆者も北海道日本ハムファイターズのバッティングピッチャーをやっていたときは、かなり重要な職務であると言われていました。
そのようなことから、当たり前ではありますが、生身の人間が投げて打つことは、とても大事なのです。
ということは、野球というスポーツは、タイミングが重要ということにつながってきます。
では、なぜメジャーはピッチャーとのタイミングをあまり重要視しないのか疑問に思わざるをえません。
ハンドスピードの重要性
この動画の42分ぐらいに日本とメジャーのバッティングの違いについて語っています。
メジャーはとにかく、ハンドスピードを早くという表現をして指導するそうです。
これは、決して手打ちではなく手でさばけるように反応するという意味だそうです。
日本の野球の指導者は、バッティングは下半身主導で教えるのがほとんどですが、「腕を先に出す」と教える指導者はあまりいません。
そこで、この「ハンドスピード」「自分の手を信じなさい」この2つの表現を聞いたとき「なるほどな」と思いました。
メジャーは、足でタイミングを図るのではなく手でタイミングは図っているのではないかと仮説を立てました。
実際、「ヒッチ」を使って打つバッターが多いです。
ヒッチとは、バットのグリップを上下に動かす動作です。
日本の指導者は、このヒッチの打ち方を嫌います。
これは、バットを上下に動かすことによってバットをボールに当てる正確性が損なわれるのであまり教えません。
ヒッチを使う有名メジャー選手は、762本のホームランMLB記録を作った、バリー・ボンズ氏やミゲル・カブレラ氏があげられます。
日本では、2019年に巨人にFAで移籍した、丸 佳浩選手などがヒッチを使って打っています。
他にも、3冠王の落合博満氏もヒッチのスペシャリストです。
ということで、メジャーリーガーはピッチャーのタイミングを合わせていないのではなく、「ハンド」でタイミングを図るといったことが、結論付けられると仮説を立てます。
すべてのメジャーリーガーがそうではないと思いますし実際小さくですが足を上げる選手は数多くいます。
選手が「ハンド」でタイミングを図るというよりも指導の方針がそうなのかなといった理論的な見解ということを補足として付け加えておきます。
メジャーは、「静」から「動」日本は、「動」から「動」といった感じでしょうか?
それと、メジャーリーガーは、沈む球種に弱いというデータがありますが納得です。
日本のピッチャーでメジャーで活躍してきた選手は、落ちる系が得意なピッチャーばかりです。
ガイドハンド
ガイドハンドという言葉を聞いたことはないでしょうか?
ガイドハンドとは押し手のこと、右打者なら右手、左打者なら左手です。
バリー・ボンズ氏がよくガイドハンドの重要性を説いていました。
バリー・ボンズ氏は、ガイドハンドでボールを掴むように打つと言っています。
ガイドハンドなら確実にボールを捉えることができる言い回しは、確かに理解できます。
このような話を聞くと、やはりメジャーでは、下半身ではなくより「ハンド」で確実性を重要視して打つように考えているのではないでしょうか?
逆に、日本では、引き手でリードして開かないように打ち返すよう指導されたりします。
むしろ押し手は、支えるだけと言われたりします。
最近では、押し込む打法が推奨されつつありますので、だいぶ日本でもバッティング理論が確立されてきていますが、なぜこうもバッティングの指導が違うのでしょうか?
やはりバッティングは、「奥が深い」と言われる由縁なのかもしれません。
飛距離について
さて、大谷選手はインタビューの中で、コンパクトに打つという言い方は語弊があると語っています。
これは、振り幅を小さくして打つのではなく、体を振らずにボールを確実に捉えて打つと言っています。
なので、メジャーでは「振り幅を大きくしなくても打球は、遠くへ飛ぶんだよ」ということなのだと感じました。
現に、大谷翔平選手はすり足に変えたことによって、飛距離が逆に伸びたと語っています。
体格の差は、確かに日本と比べるとメジャーは、大きいのでそこの部分は否めませんが、大谷選手が逆に飛距離が伸びたということは、否定されるのではないでしょうか?
はじめ大谷選手は、飛距離が自分の持ち味なので足を小さく上げて打つと飛距離がでないと考え、スタイルを変えてこなかったと言っています。
しかし、開幕直前に大げさに足を上げずに打ってみたら、案外飛距離が落ちずむしろ飛距離が上がってきたのです。
必要のない動作は省く
飛距離が変わらないのなら、省くものは省いて確実に捉えられるバッティングフォームにするのはむしろ自然です。
上記で上げた足を上げるメリットを書きましたが、その中に飛距離が伸びやすいといった項目が消えることになります。
次にタイミングですが、上記で説明したとおり「ハンド」でタイミングを取ります。
最後に軸足ですが、構えた状態から軸足に体重を乗せていればすでに準備はできているといった感じでしょうか?
こういった理由から、足を上げる動作はむしろ無駄な動作なのではないかと結論付けられます。
イチロー選手もオリックス時代の「振り子打法」は、メジャーではおこなっていません。
振り子打法のように大きくタイミングを計らなくても同じバッティングフォームができるのなら、はっきり言って無駄な動きになるのです。
誤解のないように言いますと、イチロー選手も言っていますように決してバッティングフォームを変えたとは言っていないのです。
不必要な動作を省いただけ。
ただそれだけなのです。
ハンドスピードを上げることによって肩の開きがなくなる
実はハンドスピードを推奨している指導者は、日本にもいてその方は、3冠王の元プロ野球選手の落合博満氏です。
落合氏の場合は、腰を回転させると外側のボールを掴むことができないから腰は、回さないと言っています。
腰を回さず「先に手を出す」そうすることによって、肩が開かずバットとボールをヒットさせると言っています。
ゆったりとした構え方から、手を先に出すために生まれたのが「神主打法」なのだと考えます。
確かに言われてみれば、下半身の粘りを使って開かないように打つよりも先にバットを出してしまえば、さほど難しくはないのかもしれません。
ただ間違えたくないのが、言い方が違うだけで最終到達地点は同じだということです。
しかし難しいものでここで、弊害が生まれてしまいます。
それは、教えられる側です。
最終的には、同じことを言っているのですが表現の言い方が違うばかりに教えられる側は、指導者によって言っていることが違うと感じてしまうのです。
プロの世界でも、教え方が10人いれば10通りの教え方があるようにそれほど、野球のバッティング指導は難しのです。
ではどうしたらよいのでしょうか?
理屈や頭で考えるよりも効果的な方法
バッティングを上達するための戦略としては、好打者の研究をすることです。
どのように打っているのか、まず調べます。
そこで、自分のスイングと何が違うのかを比較するのです。
好打者の研究と言いましたが、自分の目指している、目標にしているバッターでいいと思います。
そうすることによって、自分の考え方を自分の中で落とし込んでいけばいいのです。
そこから、自分なりの理論が生まれるのではないでしょうか?
それと、選手がバッティングについて言っていることに耳を傾けるのです。
そして、自分で試し実践してみます。
そこで、しっくりきたり、これは取り入れたほうが良いと感じたのなら積極的に自分のものにするのです。
最近、情報社会になりありとあらゆる情報が飛び交っています。
そこで、頭で理解しわかってもうまくはなりません。
リアルで自分ものにしなくてはいけません。
骨盤の角度、バットの角度などいろいろな情報がありますが、それはひとつの情報に過ぎず、それをわかっただけではうまくならないということです。
理論で片付くほどバッティングは簡単ではないことを理解しておきましょう。
生きたボールを打つとなるとなおさらではないでしょうか?
だから、大谷選手はインタビューの中で「うまく反応する」と語っているのです。
今回お話した「手を先に出す」といった練習を取り入れるのも、とても効果的だと思いました。
実際筆者は、なんども手から先に出すようにスイングしたのですが、とても理にかなっています。
これは、ぜひ練習の一つに取り入れることをおすすめします。
まとめ
ここでは、バッティングについて理論してきましたが、ひとつ大事なことがあります。
大谷選手の話していた、何がダメなのか?自分の中でどうしたら良くなるのかを考える。
これがバッティング理論以上に何よりも大事なことなのではと思いました。
成功者の考えとして、とても考えさせられました。
これは、野球だけでなく仕事や私生活などでも同じようなことが言えると思います。
大谷選手は、人に相談することが何よりも嫌いといっています。
自分の中で、考えて考え抜いてそれでもわからないのなら相談するそうです。
メジャー開幕前、大谷選手は相当悩んでいたのだと思います。
そこで、イチロー選手という素晴らしい選手が身近にいて自ら出向いてバット1本もって相談にいったと言っています。
そこで、自分のもっているものは素晴らしい、自分を信じなさいと言ってくれたことがなにより嬉しく心に響いたと言っています。
そこで、自分の取り組みに間違いはなかったと再認識して、このメジャー初シーズンいろいろな苦悩がありましたが、新人王というタイトルを手にしたのだと思います。
2019年は、肘の手術(トミー・ジョン手術)の影響でバッター1本で行くと予想されます。
さらなる進化した大谷選手に期待したいですね。
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