【少年野球のピッチング解析】コマ送りで解説、左投手の球速を上げたいと思います

ここでは、日本リトルシニアリーグ硬式野球に所属している中学2年生のピッチングフォームを解析したいと思います。

筆者が実際に直接指導した選手です。

とても柔軟な投げ方で、将来有望な選手です。

左腕でしかも打者からボールが見えづらい投球フォームですので、貴重な逸材かと思います。

日本では左打者に好打者が多く、左打者にとって左投手は、肩口からボールが来ますので打ちにくく尚且、左投手は対戦数が少ないので貴重な存在です。

左投げピッチングフォーム解析①

それでは、さっそくピッチングフォームを解析していきましょう。

①躍動感があって良いのですが、振りかぶる際にグローブが横を向いています。

これだと打者に握りを読まれる可能性があります。

なので、グローブを立てて脇を締めて、打者やコーチャーズボックス、相手ベンチにボールを見せないようにするのが鉄則です。

②は、軸足を内側に絞れていてとてもいいです。

力が外側に逃げづらく理想かと思います。

ただ、プレートに対してつま先が斜め前になってしまっているため、これだと打者に対して正面にステップしづらく脚が、クロスに入りやすくなります。

ステップした脚がクロスしてしまうと、スムーズな体重移動ができず、窮屈な投球フォームになりがちです。

③の軸足は、投げる方向を定める重要な位置ですのでキャッチャーに対して正面になるのが基本になります。

さらにプレートを利用して蹴ると力が伝わりやすいので使えるものは、使っておきたいです。

プレートの角にスパイクの歯をかませる投げ方もありますが、しっかり片足で、立てる投げやすいポジションに軸足を決めましょう。

全ては、この軸足からスタートですのでとても重要な場所です。

④は、しっかり、右足が上がっていて捻り(タメ)ができているのでとても良い状態です。

上半身もリラックスしてとても良いですね。

右肩もキャッチャーに対して正面を向いているので、コントロールしやすいです。

【赤い線】溜めを作るために、右肩をしっかり入れる投手が多い傾向にありますが、いずれにせよステップしたときに右肩と左肩は平行になっていればOKです。

このときしっかり、軸足に体重が乗るように、若干左肩が下がってもいいかもしれません。

ただ、いったん下げた左肩をステップしたときに平行に戻さなければいけませんので、ムダを省くためにはどちらでも構わないと思います。

躍動感が少しかけるかもしれませんが、コントロールをつけやすいメリットがありますのでいいと思います。

⑤は、グローブから手が離れボールが打者に見える場面ですが隠すように手が離れてきているので、打者はボールが見づらくとてもいいポジショニングです。

⑥は、しっかりグローブで壁ができているので素晴らしいです。

軸足も折れすぎずスムーズな体重移動ができています。

⑦は、いったん左手を下におろしていますが問題ないです。

このポジジョンなら手が体から離れづらくボールを引き上げることができるでしょう。

体からボールが離れないメリットとして、肩肘に負担が来ません。

よく投げるときに体からボールが離れているピッチャーを見ますが、故障しがちです。

遠心力は付きますが、その分肩肘にスピードが乗った分、特に肘は引っ張られますので内側の靭帯に負担が来ます。

よく力んだときになる傾向ですので気をつけましょう。

ピッチングフォーム解析②

⑧右足をキャッチャー方向にステップし始めます。

このとき、つま先が立つぐらい下半身主導でいくと良いでしょう。

⑨このとき、若干体から左手が離れますがこの程度なら問題ないです。

⑩軸足の膝が内側に絞れて問題ないですが、やはりつま先がプレートから離れている分、右足がキャッチャー方向に真っ直ぐステップできません。

⑪右足の膝ですが、股関節や内転筋の柔軟性があればもっと内側に絞れると思います。

この動作のスペシャリストが、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手と、ロサンゼルス・ドジャースの前田健太投手です。

この形を作れると下半身主導でしっかりパワーをボールに伝えることができます。

尚且、軸がブレずしっかり中心で回転することができます。

⑫は、やはりキャッチャーに対して真っ直ぐにステップできず一塁側へクロス気味にステップしているように見えます。

左バッターにとっては、バッターの方向に踏み込んでくるのでとても驚異を感じ、打ちづらいメリットがありますが、体重移動というスムーズな動作から考えると、不自然と言わざる終えません。

こういった投手は、プロ野球の世界では左の好打者のワンポイントとしてよく使われる傾向にあります。

踏み込んでこられると、バッターは、恐怖を感じ尚且、ボールが肩口から入ってくるのでとても打ちにくいです。

どちらを選択するかは、指導者としっかり話し合って決めてください。

⑬肘から引き上げているので、とても素晴らしいと思います。

欲を言えば、もっと体に巻き付くように引き上げればなお良いでしょう。

⑭股関節と内転筋の柔軟性があれば、まだ膝が内側に絞れると思います。

これができると、懐の広い下半身を使った躍動感あふれるフォームになります。

⑮は、かかとが浮いてしまっているので、もっと内側に絞りながら体重移動したほうがうまくボールに力を伝えられます。

⑯ですが、グローブを上げすぎてしまっているため、顎が浮いてしまっています。

これだとせっかく、水平に体重移動したのにいったん上に力が逃げてしまいます。

この場合、コントロールがつけづらく本人も投げづらさを感じると思います。

バッターにとっては、グローブでボールが見えづらいメリットがありますが、なるべくグローブは顔より下もしくは、顎のラインまでに置くことが基本です。

ピッチング解析③

⑰肘の位置は、申し分ないです。グローブの方も若干伸び切ってしまっていますが胸をはれて問題ないです。

⑱の膝は、きれいに絞れていて特に問題ないです。

⑲ですが、内側に絞りきれずにきているので、開きが早くなっています。

⑳若干肘の位置が低いですが、これぐらいなら問題ないです。

しっかり胸もはれてきれいなフォームです。

㉑のグローブの位置ですが、できれば体の近くに引き寄せたいですね。

㉒㉓の踏み出しはクロスしてしまっている以外、特に問題ないのですがもっと右膝がしっかり体重移動できていると良いかと思います。

㉔の腰の部分は、とてもいいと思います。

うまく体重移動ができています。

㉕のポジションは、素晴らしいですね。

⑳で若干下がっていた肘がここで修正されています。

これなら問題ないです。

㉖では、もっと体重を右膝に乗せるとさらに球速がアップします。

全体重を乗せるぐらいの気持ちで踏ん張るといいと思います。

ピッチング解析③

㉗でしっかり腰が正対していて問題ないです。

㉘では、しっかり肘が上がってきておりリリースする瞬間ですが、肘もしっかりしなりができていて良いかと思います。

㉙では、やはり体重が十分に乗ってきていませんので、後ろに重心が残ってしまいます。

㉚では、㉙で体重がしっかり乗ってこないので、後ろに残ったまま腰が若干浮いてしまっています。

㉛で体重が乗ってこないので、膝が立ってしまっています。

せっかくのパワーが後ろに逃げてしまい、重心も上に力が逃げてしまっています。

㉜ですが、この場合グローブを使ってもっと引く力があると球速が上がります。

これは、「テコの原理」といってグローブの引手を思いっきり引くように意識すると、左手が遅れて出てきて遠心力で投げられるようになります。

㉝リリース直後ですが、特に問題ないのですが、もっと前でボールが離せるようになると、打者は打ちづらくなり球持ちのいい投げ方になると思います。

良いピッチャーは、できるだけ打者の近くでボールを投げるか、ボールの出どころが掴みにくい投げ方が理想です。

㉞では、体重が乗り切っていないので完全に腰が浮いてしまっています。

㉟も完全に膝が立ってしまっています。

㊱はしっかり腕が振り切れているので、申し分ないです。

ピッチング解析④

㊲㊳㊴は特に問題ないです。

㊵では、しっかり軸足が上がっていて理想的なフォームです。

㊶は、グローブを振り切るタイプのピッチャーのスタイルです。

グローブの使い方は、ピッチャーによって様々で、全く使わないピッチャーもいればテコの原理を使って最大限使っていくピッチャーと様々です。

グローブの使い方ですが、うまく使えていない場合は、グローブを自分の胸に引き寄せるように持っていくと球速がアップします。

工藤公康氏のテコの原理を使った投球フォーム

工藤公康氏のテコの原理を使った投球フォーム

この画像は、「テコの原理」を最大限に活用した投球フォーム。

力点がグローブを持つ手に考え、体の軸は支点になります。

作用点がボールを持つ手になります。

このように、グローブを投げに行くときに思いっきり引くように意識すると、体全体を使って投げられるようになります。

㊷はしっかり投げたあと、キャッチャーの方を見ていて良いです。

よく首を思いっきり振ってくるピッチャーがいますが、投げ終わったあとはしっかりボールを見るように目はしっかり正面を見るようにしましょう。

㊸はしっかり軸足が上がってきていて躍動感が感じられます。

まとめ

全体的にまとまっていて、きれいでクセのない投げ方です。

気になる点は、軸足の初動時に一塁側に向いてしまっているところ②③です。

これは、すぐに修正できるので直したほうが良いでしょう。

ただ、横からの画像ですので、もしかするとそれほどクロスしていないかもしれませんし、スパイクでのピッチングフォームではないので、たまたまプレートから動いてしまっているかもしれません。

⑯も気になります。

せっかくコントロールをつけようと水平に踏み出したグローブが上に上がってしまい顎が上がってしまっています。

これを上げずに上記で説明したように「テコの原理」を使って思いっきりグローブを引き抜くとスムーズに体重移動ができると思います。(スムーズな体重移動とは、キャッチャーに向けて体重移動することです。)

上や下すぎでもいけません。

㉚㉛㉜も改善すると、格段にスピードが上がると思います。

この形だと力がすべて出しきれていないので、この体重移動がスムーズにできていれば、スピードが上がるだけでなく球持ちが良くなりバッターは、打ちづらくなると思います。

踏み出したあとは、必ず体が浮かないように踏ん張って前に体重が乗せて投げさえすれば、おそらく10キロ以上の球速が上がると思われます。

指導者は、㉟番あたりを気にして見てあげると、改善点が見つかると思います。

ピッチングは、下半身がとても重要です。

前へ前へ移動しグローブで壁を作り、投げ始めるときにグローブを一気に引くのです。

そうすると、力強い回転ができスピードが一気に上がります。

ボールを持つ利き手の使い方は申し分ないのであとは、右手のグローブの使い方を注意して、下半身主導でピッチングフォームを固めると、コントロールが付きやすく、球持ちの良い下半身主体の素晴らしい投手になるでしょう。

工藤公康氏のピッチングフォーム

工藤公康氏のピッチングフォーム

このように、下半身手動で体重移動も前へ踏み出し、一気にグローブを引いて鋭い回転で投げています。

少しタイプが違うので、参考になるかわかりませんが、とにかく一流のピッチャーの連続写真を自分のフォームと比べてみてどの場所が、違うのかを比較することをオススメします。

下半身の使い方や腕の使い方、腰の使い方などポイントごとにチェックし、すべてを一気に直すのではなく一つ一つ改善していけば、それほど難しくありません。

ひとつをクリアできれば、目に見えて良くなるので、まずは根気よく反復練習を繰り返して直すことを推奨いたします。

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