バッティング上達に最も必要で基本的な動作の一つでもあるのがヘッドスピード(スイングスピード)。
ここでは、高校大学とホームランを量産してきた筆者がヘッドスピードを上げるための練習方法を詳しく解説していきます。
その前にまず誤解のないようにお話しますと、「ヘッドスピード」「スイングスピード」は同じような意味合いです。
ここでの、ヘッドスピードの定義は、バットの先端の加速を意味しますので巻き付くようなグリップ手動からの起動スピードという考え方で話を勧めたいと思います。
もう一方のスイングスピードの定義としては、スイングそのものの速さと認識しておけばよいでしょう。
さて、バッティングにおけるヘッドスピードを上げる練習方法について詳しく解説していくのですが、実は、この動作をマスターすれば、見違えるような打球が打てるようになります。
最後まで読み進み実践してみましょう。
ヘッドスピードを上げるとどうなるのか?
まず知識として、ヘッドスピードを上げると、どういった利点があるのかを考えたいと思います。
ヘッドスピードを上げることによってここまで変わる7つの考え方
- 1.鋭い打球が打てて飛距離も伸ばせる
- 2.スピードボールに対応できる
- 3.ボールを引きつけて打つことができる
- 4.好不調の大きな波を防ぐことができる
- 5.実はヘッドスピードを上げるには下半身が重要ポイント!
- 6.ヘッドスピードを上げる下半身の使い方
- 7.広角に打てるようになる
1.鋭い打球と飛距離の可能性について
ヘッドスピードが速くなるということは、ボールとバットにあたる衝撃が高まりボールに速度がつきます。
例えば、振り子を例に例えると、重力の作用により一方の球体が大きく揺れて速度がつくともう一方の球体にあたり大きく跳ね返ります。
バッティングも同じで、ステップした足が付いた時、足の先とグリップの距離が最大に離れている、いわゆる「割れ」ができている必要があります。
そうすることによって、体のねじれを最大限に引き出しヘッドスピードが加速していく仕組みとなっています。
オリックス・ブルーウェーブ時代のイチロー選手の「振り子打法」がとても有名です。
2.スピードボールに対応できる
ヘッドスピードが上がると、速球投手に対して苦手意識がなくなったり、2ストライクと追い込まれたときに変化球を待ちながらストレートに対応できたりします。
球が速いピッチャーとの対戦したときに、ボールに負けないようにとポイントを前にしがちですが、そうなると緩い変化球にタイミングが合わず三振したり外側のボールに反応できず見逃したりしてしまいます。
ヘッドスピードを上げるということは、バッティングでの基本動作の一つとして身につけなければいけないのですが、相手ピッチャーとの心理的な戦いにも有利になることを覚えておくと良いでしょう。
3.ボールを引きつけて打つことができる
これも上記で解説したことと、重複してしまうのですが、ヘッドスピードを上げると速球ピッチャー以外にも相手ピッチャーとの対戦に非常に有利になります。
鋭い打球が打てて尚且、間が持てるので好球必打が可能になります。
好打者のポイントとして、覚えておきたいのがボールを「迎え打つ」ということです。
ボールを追っかけている打者と、どっしり構えてボールを自分の懐にくるまで待つ打者どちらが好打者と言えるでしょう?
そう、後者のほうが好打者と言えます。
相手ピッシャーにとっては脅威にすら感じるでしょう。
そのためには、ボールをできるだけ引きつけて「いつでも来い!」といった余裕が必要になってきます。
4.好不調の波を防ぐ
調子が良いバッターというのは、ヘッドスピードが早く余裕を持って打席に立つことができます。
しかし、好打者でも、必ずスランプがあるように体の不調や疲れからどうしても普段のヘッドスピードが出せなくなり余裕が持てなく最後に、自らバッティングフォームを崩してしまうといった負の連鎖が起こりやすくなります。
「よくバットが振れている」とか逆に「振り込みが足らない」などといった言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、では体調の良し悪しでスイングスピードが変わってくるのでしょうか?
その答えは体調管理や腕の力ではなく、実は下半身にあります。
5.ヘッドスピードを上げるには下半身が重要ポイント!
元ヤンキースの松井秀喜氏は、上半身のウェイトトレーニングはあまり行わないので、通常の選手より上半身の力はそれほどないのですが、下半身に関しては、相当なパワーを誇っていました。
下半身の力でホームランを量産していたと言っても過言ではないでしょう。
それほど、ヘッドスピードを出すには下半身が重要と覚えておきましょう。
6.ヘッドスピードを上げる下半身の使い方
ヘッドスピードを上げるための下半身の使い方ですが、実はとても簡単です。
やり方を覚えれば、見違えるようなスイングスピードが身につきます。
その答えは、軸足の内転筋の使い方にあります。
軸足の内転筋をステップした足に思いっきりぶつけにいくのです。
これだけで、自然に捻りが生まれバットが遅れて出てくるようになります。
この動作を覚えておくだけで、格段にヘッドスピードが上がり尚且、コンパクトに打てるようになります。
必ず実践してみましょう。
逆に気をつけたいのが腰のキレとも言いますが、下半身がうまく回転しないスイングだと、ヘッドスピードが走らず、無理に速く振ろうとすると手打ちのバッティングフォームになりがちです。
気持ち的にも打とう、打とうと力みが入り体が前のめりになり、相手ピッチャーを有利にさせてしまいます。
それと力むとヘッドスピードが落ちることを覚えておくと良いでしょう。
調子が悪いときは下半身主体(内転筋をステップした足にぶつける動作)でバットを振る意識を持つと、いつの間にか調子が戻っていたりします。
意識を持ちながら実践してみましょう。
7.広角に打てるようになる
ヘッドスピードが上がると、インコースをうまくさばけたり、反対方向の打球にうまく打てるようになります。
これは、差し込まれても振り切るスピードがあれば弾き返せるようになります。
逆にヘッドスピードが弱いとボールに負けてしまい、差し込まれどん詰まりの打球しか打てなくなります。
そうなると、前で打とうという意識が生まれ外側のボールに対応できなくなってしまう二重苦になります。
ボールに負けないスイングを是非、身につけましょう。
以上がヘッドスピードを上げる利点について解説してきました。
ヘッドスイングを上げる練習方法
次は、ヘッドスピード(スイングスピード)を上げる練習方法について解説していきます。
早打ちT打撃練習(連続T打撃)
T打撃でよく行うのが「早打ち」「連続打ち」とも言います。
これは体全体で打つことによってヘッドスピードを上げるのと体のキレを良くする練習方法でもあります。
実はこの練習方法には、賛否両論あるのですが、しっかりとしたフォームで打てば良い練習方法になりますので、是非取り入れましょう。
ただ注意する点があります。
それは、腕だけで振らず予めステップした位置から腰を捻りながら体全体で振ることです。
体の軸もぶれないようにしっかり振りきりましょう。
バットの出し方は、下から出すのではなく上もしくはレベルスイングからバットを出すイメージで、ボールの内側を打つようにしましょう。
実践練習と違い横からボールが来ますので、なるべくボールの内側を打つようにすれば正面からボールが来るのと同じような起動で打てます。
トスする人もむやみに速く投げるのではなく、しっかり振りきれるようにテンポよくトスしましょう。
疲れてきたら、一旦ストップしインターバルを開けるのが望ましいです。
内転筋のトレーニング
上記でご説明しましたが、内転筋のパワーがスイングスピードに直結してきますので、是非鍛えておきたい場所です。
内転筋の鍛え方は、柔らかい30cmほどのゴムボールを使います。
椅子などに座り、足を真ん中ではさみ内側に力を入れましょう。
30秒を5セット週に3回以上行うのが望ましいです。
他にも縦横30cmほどの正方形のゴム板で座りながら、両膝の内側で落ちないように挟むトレーニング方法もあります。
ゴム板がなければ、座布団でも良いので内膝から落ちないように30秒ほどはさみ、これも5セット週3回以上おこないましょう。
内転筋を使ったスイング動作
実際にバットをもって構え、軸足の内転筋をステップした足にぶつける感覚で動作を繰り返しましょう。
バットが自然に走り出そうとしますが、そこを止めながら何度も下半身だけの動作を繰り返し行います。
注意したいのが、ステップした足と腰がが開かないように行うのがポイントです。
ステップした足(リードする足)の引き締めながら止めないと体が自然に開いてしまいます。
軸足主導で一気にステップした足にぶつける感覚を身につけましょう。
体幹を鍛える
体幹が弱いと軸がブレやすくバットが走りません。
- 腹筋
- 背筋
- 腹斜筋・腹横筋
この3つを鍛える必要があります。
腹筋、腹斜筋、腹横筋は、30回を1セットとし3~5セットを週3回以上目安に行いましょう。
背筋の場合は、50回を1セットとし3~5セットを週3回以上目安に行います。
腹筋、背筋、腹斜筋・腹横筋は、野球を行う上でとても大事な筋肉ですので、鍛えておきましょう。
とくに腹斜筋・腹横筋は、捻りの動作にとても必要な筋肉ですので、強くしておくとスイングスピードが上がります。
普段では、あまり使わない筋肉ですのでトレーニングし辛いかもしれませんが、もしペアがいれば足を抑えてもらっておこなえば効率よく鍛えることができます。
体幹は、下半身から上半身に力を伝達する大事な筋肉ですので積極的に鍛えましょう。
1キロバット(トレーニングバット)で振りこむ
重いバットで素振りをすると、体幹や下半身、腕の筋力が上がります。
よくネクストバッターズサークルで重いバットを振るのはバットスイングの速度を上げるためです。
実際、重いバットを振ったあと、通常のバットの重さで振るとスイングスピードが上がります。
さらに、重たいバットを使って素振りを行うと、体全体の筋力アップにも繋がりますので、取り入れることをおすすめします。
ただ注意したいのが、バットが重すぎると手打ちになりがちなので、体全体でしっかり振り切れる重さでスイングしましょう。
手打ちになるとヘッドが下がり、波打つスイングになりやすいです。
それと、悪い癖が付きやすく手首を痛める可能性もあるので注意してください。
自分にあった、しっかり振り切れる重さのトレーニングバットで素振りを行うのがポイントです。
上半身だけのスイングと下半身を主体にしたスイング比較
上記の画像を見比べてみると、左側は腰が早くから開き捻りがないままグリップが出ているのがわかります。
これでは、鋭いスイングができません。
逆に右側の写真は、しっかり下半身主体から初動ができているので、バットは加速していきます。
筆者は、上半身の力は、さほど入れておりません。
上記で説明したとおり、感覚として軸足をステップした足にぶつけるイメージしながらスイングしています。
ただ注意したいのは、ステップした膝と腰が開かないことが重要です。
開いた状態ですと腰まで開いてしまい、ヘッドが走ってきません。
必ずステップした膝は、開かずに壁を作りましょう。
そうなると、肩の開きも防ぐことができるので自分のポイントで打つことができます。
しかもこの壁がしっかり作ることができれば、あらゆる変化球にも対応でき自分のスイングが可能になり崩されにくくなります。
相手ピッチャーもしっかり待たれたり、ボールをじっくり見られたりすると、投げにくくなりカウントを悪くしてくれたりします。
こうなると、よりバッターが有利になるので、高確率でヒットが打てるようになるのです。
相手キャッチャーも打者心理が読みにくく、どの球種で攻めたらいいのか困惑しますので、より一層有利に働くことでしょう。
まとめ
以上で、ヘッドスピードを上げる方法についてと練習方法について解説してきました。
ご説明したとおり、下半身主体でスイングをすることを第一に考え、決して腕の力でヘッドスピードを上げるという錯覚に陥らないよう注意しましょう。
下半身主体でスイングをする感覚を覚えたら、あとは体が自然に反応するよう反復練習をおこないます。
時々「調子が悪いな」と感じたらスイング動作を動画などで撮り、できればスローモーションで下半身と上半身の動きをチェックしながらおこなうと好不調の波がなくなります。
コメントを残す